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23年の時を経てそれぞれが語る、『ブレンパワード』。サンフェス2021レポート


10月1日(金)から始まった、サンライズとバンダイナムコピクチャーズの作品を連日上映するイベント「サンライズフェスティバル2021 REGENERATION」(サンフェス2021)。

 

10月15日(金)からはサンライズ作品がラインアップされ、その最初の作品として、富野由悠季監督の作品であり、本イベントのキービジュアルにも描かれている『ブレンパワード』が登場しました。今回は、第9話「ジョナサンの刃」、第21話「幻視錯綜」、第25話「オルファンのためらい」、第26話(最終話)「飛翔」をセレクト上映。
さらに上映後にはゲストとして、本作の生みの親である富野監督、宇都宮比瑪役の村田秋乃さん、「富野由悠季の世界」展企画チーム・ブレンパワード担当の若松基さんがステージ登壇し、トークイベントも開催されました。

 

この記事では、新宿ピカデリーで開催された本イベントのレポートをお届けします。

 

 

▲司会進行:サンライズ・河口佳高

 

▲富野由悠季監督 

 

上映が終了すると、村田秋乃さんによる豪華なアナウンスが流れた後、ステージに富野監督、村田さん、若松さんが登場。司会進行を務めるサンライズ・河口佳高の「さっそく始めましょう」に対し、富野監督から笑顔の「勝手にやれ!」でトークイベントが始まりました。

 

今回上映された話数は、村田さんと若松さんがセレクトしたもの。まずは、そのセレクトに関して、村田さんが答えました。

 


 

▲宇都宮比瑪役の村田秋乃さん



村田
「9話『ジョナサンの刃』は、タイトル通りジョナサンが刃を剥くのですが、破天荒なジョナサンの心の闇や傷が見えるシーンがありまして。実際に放送されていた23年前だったら違う話を選んでいたかもしれませんが、時間が経って自分も“お母さん”になってみると、ジョナサンが可愛くて仕方ない、寂しかったんだね~という気持ちで見てしまって、私はこの回がグッと心に刺さりました」

 

そんな村田さんは『ブレンパワード』がアフレコ初挑戦の作品でもあり、声をあてることについていくだけで精一杯だったとのことでした。
当時の声優キャスティングに関して富野監督は、

 

富野
「ブレンの時のキャスティングは、基本的にうまくいったなという記憶しかありません。そのキャスティングの基準は、“声優事務所に染まってない人”ということ。その時、村田さんの声ってよく覚えていて。声を聞かせてもらって5秒か10秒で、声優慣れしてない声だな、と思って採用しました。他にもプロの方に枠を作ってもらえていたからこそだけど、じゃないとそこで素人は使えなかった」

 

と回答。キャスティングの考え方を明かしていました。

 


 

 

続いては若松さんに第21話「幻視錯綜」を選んだ理由を聞きました。

 

若松
「『ブレンパワード』は富野作品の中でも一番エモーショナルに振り切れているというか、非常に言語化が難しく。(富野作品は)どの作品もいいなと思うのですが、『富野由悠季の世界』でも、(自分に)やらせてください!と言ったくらい大好きな作品です。正義や真実の不確かさが富野作品の根幹になってると思いまして、それが一番端的に表れているのがこの『幻視錯綜』だなと思いました。見るたびに大混乱を起こすのですけど、今回この大スクリーン、大音量で見れて感覚が吹き飛ぶような、いい体験ができたと思います」

 


▲「富野由悠季の世界」展企画チーム・ブレンパワード担当の若松基さん


 

なお、今回は富野監督も来場者と一緒に上映を観ていたそうで、

 

富野
「こんなにもわかんない話を作ったなんてゾッとしました」

 

と笑いを誘い、

 

富野
「なんでこういうものを作ったのか少しだけ思い出しました。ここに表れているセリフとか物語の行動とか、全部、現在までの自分の能力のほとんど限界値のところで作った物語だったんだということを思い出したんです。ですから、ギリギリのところで作ったものっていうのは、実は覚えてません。全部吐き出しちゃったんで。ああそういう作品だったんだなって。ただ、本当にこの『ブレンパワード』はとんでもない作品なんだ、素晴らしい作品なんだと思う。が、問題なのは作りが悪すぎる。ということなんで、ごめんなさい。ここにいる皆さん以外には観てくれと言い難い、という作品だなと」

 

と続け、会場の温かいリアクションを誘っていました。

 

また、第25話「オルファンのためらい」を選んだ若松さんから、「富野作品のラスト3話は最高の鉄則」というエピソードが飛び出したほか、第26話(最終話)「飛翔」について、村田さんと若松さんから「オーガニックエナジー」のパワーが描写されていたシーンの大事さや、富野作品における最終回の結末がわからない終わり方の良さについて熱いトークが繰り広げられました。

 

当時の制作状況について聞かれた富野監督は

 

富野
「徹底的に覚えていないです。覚えてるのはOPとEDがうまくいったことだけです。」

 

など、会場の笑顔を誘う回答を連発していました。

 


 

 

その後もトークイベントは続き、富野監督や村田さんの当時の思い出話や、若松さんの「富野由悠季の世界」でのお話、富野監督が『ブレンパワード』を作るに至った自身の当時の状況や考え方などのお話が展開されました。

 

そして、トークの最後に、「ブレンパワードBlu-ray Revival Box」発売決定の発表が行われました。発売は2022年3月29日(火)で、豊富な特典が付属するほか、先着購入特典も用意されています。
また、本商品のPVでは、村田さんの23年の時を超えた「比瑪」の撮り下ろし音声も使われているそうです。

 

最後にゲストの皆さんから

 

村田
「放送から23年経って、いろいろと地球の環境が変わってきた現在に『ブレンパワード』を観ると、またちょっと違った視点で観られるのかなと思います。Blu-ray楽しみです!」

 

若松
「『ブレンパワード』には誕生日というモチーフがよく出てくるのですが、生まれてきたことへの祝福みたいなことが、すごく大切なテーマになっていると思います。「富野由悠季の世界」は本当に美術館でやるのに相応しい内容だったなと思います。今日も『ブレンパワード』大画面で観れてうれしかったです!」

 

富野
「またBlu-rayで観られるという状況を作っていただき感謝はしています。が、すでにお話ししたと思いますが、作りが必ずしも良くはないということで、これが永久保存版になってしまったのがちょっと悔しいっていう部分もあります…ブレン作りなおしたい!絶対長生きするぞ!」

 

とのコメントで、トークイベントは終了しました。


 


サンライズフェスティバル2021は、10月31日(日)まで順次開催中。
この後もまだまだサンライズ作品が目白押しとなっていますので、気になる作品がありましたら、ぜひご参加ください!

イベントの詳細は、サンライズフェスティバル公式サイトをご覧ください。

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サンライズフェスティバル2021 REGENERATION
『ブレンパワード』

[開催日]2021年10月15日(金)
[会場]新宿ピカデリー

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